九州2015春
昔からのオートバイの友人が長崎で自分の病院を開院するという。これは行かねば。
<1日目> 出立。雨
移動日。前夜出発でなるべく下道を使い、休み休み進む。
ごろんごろん、のんびり走れるディーゼルエンジンのマニュアルミッション車なので、下道が味わい深い。なかなか進まないけど。三年前、オートマのハイエースで九州に行ったときは、夜出発で高速道路を使い、最初の休憩が夜明けの神戸だった。二度目の休憩が岩国。それが今回はどうだ・・出発してわずか100kmほどの藤枝のパーキングで明るくなるまで眠ってしまった。うわあ、しょっぱなからテキトーな感じで、いいねえ。
途中、兵庫県加古川の野池群を取材。膨大な数の野池。住みたいなあ。
<2日目> 九州上陸。雨
広島から九州へはまだまだ長い。
ダム湖を取材しながら九州をめざしたかったが、雨が強く山間部はリスクがあるのでやめ、宇部(山口県)の海側の池を取材に変更。そういえば天気予報を見ていない。雨なら雨、晴れなら晴れのよさがある。狭い車内で過ごす時間が長いので、じつは晴れの日の方が雨よりはるかにしんどい。寒いのはいかようにもしのげるが、暑さ、陽射しの方が苛酷。湖沼の写真も雨の日はしっとりしたいいものが撮れる。
九州を目前に、大阪の叔母から長い電話。
下関で大阪の叔母から電話があったので、大きなショッピングセンターの駐車場にクルマを停車させ1時間ほど話す。先祖伝来のマントルピースを引き継いでほしいという話だった。よく分からない話で旅先じゃなかったら、じっくり話を聞けなかったかもしれない。
電話を切るとホームセンターと100円ショップの駐車場だったので、小一時間ばかり必要物資を物色し、いい買い物ができた。
<3日目> 大分、熊本から天草へ。雨、一時晴れ
九州の朝。夜明け前から動き、大分の人気釣り場である千倉ダムへ。狭く急坂の道を行くが、着いてみると釣り禁止だし、のんびりできるような駐車スペースもない。ここで釣りをしたり仕事をしたりゆっくり時間を過ごそうと思ったのに、がっくり。すぐに移動。
大分から熊本を経て、天草島へ。
やっと晴れ間が出たので熊本市内で折りたたみ自転車ブロンプトンをチョイ乗り。今回の新ハイエースのシステムを概観する。
ベッドキットなし、フローリング(床加工)なしの、アイリスボックス置いただけのベッドシステムはじゅうぶん用をなした。
質素なセカンドシートは高さが低く、アイリスボックスの高さとツライチ! 居住性がよく、室内移動もラク。
鉄板むきだしの内装。強力マグネットフックを増設。もっと増設したい。
下関のホームセンターで買った傑作マグネットフック。
雨の日つづきなので、質素なゴムマットが気楽でよい。以前のハイエースのカーペットはほんとにいやだった。
社外製品の肘かけとかサイドテーブルやドリンクホルダーは必須かと思っていたが、今のところ何にもなし。多少不便でも純正のままでいいかなあという感じ。
天草へ。
天草の上島・下島は橋で本土とつながっていることもあり、島という感じはまったくしない。
上天草の道の駅に入り、この旅初めての入浴と外食をした。タコが名産だそうで、ありがちなサーモン、マグロ、ハマチとくる海鮮丼と違って、ほとんどタコしか入っていないところがよかった。それで、それほど美味いというタコでもないところがおもしろかった。この夜はそのまま道の駅で夜を過ごした。
走行 324km(積算1,481km)
ラン 1km
<4日目> 天草満喫。渡船で長崎へ。雨のち晴れ
箱根は雪が舞っているという妻からのメール。天草は晴れて暑くなり、Tシャツで過ごす時間が長い。
下天草島を北から南までダム・野池調査をし、崎津へ。
隠れキリシタンと海の天主堂。
険しい山が幾重にも海にせり出す豪快な地形は、北欧のフィヨルドにも例えられる。わずかな平地にへばりつくような集落こそ、250年余にわたって弾圧に隠れ信仰を守ってきた崎津だ。「海の天主堂」と呼ばれるゴシック様式の尖塔が、海と山に守られてそびえている。
ここでケンテックスマガジンの「旅する腕時計」の撮影を行った。
渡船で長崎へ。
夕方、渡船で長崎に渡る。30分、2800円の船旅はクルマの中で過ごす。エンジンをかけてはいけないそうだが、あまりの熱さにエアコンをつけるためにエンジンをかけた。
<5日目> 長崎県を南から北へ。晴れ。
これはまさかあの軍艦島?
やっと晴れた。長崎市から長崎半島の南端へ向かう。途中、ふと海をみやると軍艦のような島。まさか、日本でもっとも有名な廃墟の端島? 別名・軍艦島とも呼ばれるこの島がふつうに陸から見えるとは思っていなかったが、地図を確認するとどうやらそうらしい。
長崎半島南端の樺島へオオウナギに会いにいく。
大正時代に島の共同井戸から1mを越えるオオウナギが見つかり、国の天然記念物にもなった樺島へ。
あまりに朝早くに着いてしまったため、オオウナギには会えず・・残念。
九州一の巨べらスポットへ。
川原大池は、九州でも屈指の巨べらスポットとして名高い。ベイトタックルロッドを持って釣り歩きしながら、下見と撮影。海水浴場が接しているから、夏場は、へら釣り&海水浴なんてのもできそうだ。この季節は人もほとんどいなくて静かだったので、駐車場でデスクワーク。気がつくと四時間も過ごしていた。
午後は長崎市街地で過ごす。二時間ばかり花屋さんを探して市中心部を歩く。やっと見つけた店で花を買って友人の病院へ持って届けた。病院は関係者がたくさんいて、スタッフもたいへんそうだった。開院前日なのだから当然である。とりあえず花だけ看護婦さんに渡して建物をあとにした。
体力の消耗が激しい。
ほとんど車内で過ごしているので、晴れると陽射しと暑さで激しく体力を消耗する。まだ四月だというのに、これから先の季節が思いやられる。
西海のホームセンターでマグネットフックを三つ追加購入。
これは下関のホームセンターで試しにひとつ買ってみたところ、素晴らしく使いかってのよい製品だったので、追加購入したくて探していたのだ。
それから今使っているちゃぶ台より、ふたまわりぐらい小さいちゃぶ台も買ってみた。アイリスボックスのフタの上でも足がはみ出ないサイズ。かつ、アイリスボックス内に収納可能なので、常備用にできる。ただ、使いかってはというと、まずまず。足が短かすぎて、卓の下で自分の足を伸ばせない。
雨つづきだったので洗車場で洗車をした。新車なのですぐきれいになる。
燃料代 4,926円(49.26リットル)
走行 203km(積算1,984km)
ラン 6km
空撮 6分(BT1)+5分(BT-1)
<6日目>平戸→呼子。雨
昨日の暑さでちょっとまいったので、雨だと少し落ち着く。
しかし暴風雨だ。ピーカンよりは体には楽だが、あまりに暴風雨だと土砂崩れのリスクもあり動きがとれない。せっかく平戸島までやって来たが、野池調査をやめて東進することに。
1時間走っては1〜2時間のデスクワークをくり返し、雨が弱まるのを待ちながら東進。伊万里で九州上陸1000kmに。
今回の旅で初めてのカッパモード。ヘッドレストがないので、今までのシステムが使えない。検討しなければ。
カッパ類はすぐに出せるように運転席後ろのアイリスボックスに収納することにした。
アイリスボックスは実証検討の結果、800サイズと600サイズを各ひとつずつ買い足すのがベストではないかという結論。収納ベッドシステムの完成度を高める。
座椅子を廃止してみる。ベッドキットを入れていたときは良かったが、アイリスボックスとの相性はいまひとつ。かわりに既存のサーマレスト・エアーマットを座椅子仕様にして使う。これがハマった。これは逆にベッドキットのときは、いまひとつだった。状況に応じてしっくりくるものも変わってくる。おもしろいものだ。
どうしても食べたかったもの。
ほとんどコンビニ食で済ませている今回の旅だが、呼子ではどうしても食べたいものがあった。
映画「悪人」にも出ていた呼子「いか本家」の躍り食い。
松浦の町のコインランドリーで洗濯。たいした量ではないのに少量用がふさがっていて、1,000円もかかってしまった。
夜は博多の友人と呑もうかと思ったが、連絡してみると、この日はたまたま三男の幼稚園入園式のために会社の休みをとったというので遠慮することにして福岡を素通り。
夜間、デスクワークと走行と仮眠をくり返しながら下道を東に進む。大分道の日田の高速パーキングに投宿。
道路代 530円
走行 241km(積算2,225km)
ラン 2km
<7日目>国東半島。晴。
大分道を日田で降りる。今回の九州遠征は、この地からはじまったので、ぐるっと戻ってきた感じだ。日田のハイライトになるはずの池が釣り禁止になっており、がっくりのスタートとなり、その後もパラダイスは見つからず、九州の湖沼の立入禁止・釣り禁止の多さに後半はなかばあきらめモード。それが・・。
チルチルミチルの青い鳥か。出発の地、大分で。
国東半島は、まさに今回の九州遠征のハイライトとなった。仏の里。交通量も少なく道も快適。いたるところに仏のこころがある。仏があちこちにいる房総といった趣。関東では房総がいちばん好きだ。里山主体のなだらかでやさしい景観は観光客に媚びていない。
また、大きな駐車場があったので何気なく立ち寄ってのんびりしていた池でライギョと再会。この顔を見るのは三十年ぶりだろうか。釣りあげることはできなかったが、姿を見ることができただけで最高のお土産となった。
それにしても、やはり晴れだときつい。いちばん暑くなる時間帯は木陰で過ごすしかない。都会だとそうもいかなくて死にそうになる。雨の方が好きだ。若いときには考えられない境地にいる。
国東半島は仏の里。
国東半島は「仏の里」と呼ばれる。そこかしこに磨崖仏がある。中でも最大の磨崖仏がここ。
昔、人食い赤鬼に悩まされる里人の願いをききいれた権現さまが解決にのりだす。赤鬼に、夜明けまでにこの場に100段の石段を築くことができたら、お前のすることを認めよう、という難題を出した。ところが赤鬼はあれよあれよという間に50段を積み上げた。このペースでは夜明けまでに完成してしまいそう。何か手を打たねばと考える権現さま。そうこうしているうちに99段まで積み上がり、もう最後の石を置くだけとなった赤鬼がほっと笑みをもらしたとき、夜明けを告げる鶏の鳴き声が響きわたった。赤鬼は「ああ油断した。悔しいが負けだ」と退散。じつは鶏の鳴き声は権現さまの仕業。この奇策によって村人を救い、99段の石段は今もなお参道として使われている。
類話は、西に10kmほどの宇佐神宮の蛇堀池にも見られる。ここでも夜明けまでに100段の石段という難題と、99段のところで鶏の鳴き声で逆転するという話の構造は同じだが、蛇堀池の場合は鬼ではなく蛇である。
この旅、二回目の風呂。
晴天だと不快のあまり、ひとつひとつの所作が適当になり、そのために小さなところで生じる小さなストレスをためていく悪循環。
面倒くさくても、ひとつひとつの動きをたいせつにすることで、かえって疲労を減らすことができるとは分かっているのだが、疲れてくると、どうもテキトーな感じで済まそうとしてしまう。
大分市内の高速パーキングで投宿。
燃料代 6,017円(52.32リットル)
道路代 230円
走行 375km(積算2,590km)
ラン 2km(百段階段含む)
<8日目>四国上陸
大分県の佐賀関港発・朝7時の始発フェリーで四国まで一時間の船旅。
四国からぐーっと西に突き出た佐多岬の先っぽの方にある阿弥陀池のほとりで朝食。納豆にはたれでなく塩。素食と運動で体調を整える。
朝食を終え、出発すると次の便のフェリーが港に入ろうとしていた。海岸路で競争。負けた。フェリー、けっこう速い。
松山で今年の初バス。まさかこんな場所で・・。
佐多岬半島の尾根伝いを走る国道からはるか下に池が見えた。
こんなところに池がと思いつつ、峠を下っていくと日帰り温泉施設が隣接した亀ヶ池という池だった。
岸づたいにスピナーベイトを投げていたら釣れた。でかい。ひさびさのデカバス。アフタースポーンでやせているけど。
日本唯一のマルチプルアーチダムで空撮。
この日の最後の目的地は豊稔池。日本で唯一のマルチプルアーチダムで、ため池100選にも選ばれている。さすが人気で観光客が切れない。人がいるところでは空撮はしないようにしているので、ひたすら待つ。偶然にも人がまったくいない空白の20分が訪れ、ひさびさの会心ショット。
うどん店に見習う讃岐人の働き方。
まだ明るかったので、最終目的地をうどん店に追加延長。クルマを中讃に走らせ、讃岐でももっともうどんが美味いと地元がいうエリアに。しかし、うどん店はどの店も昼過ぎで営業終了。
なんか、讃岐うどんの店の働き方って、いいなあ。有名店だし、稼ごうと思ったら、いくらでもやれそうなのに、バラックのままだし、昼過ぎまでしか営業しないし、コンビニで買うより安いし。
最後の予定が不発に終わり、急きょ、香川でどうしても行きたかった池へ急行。安戸池。名前は池だが、なんとハマチをルアー釣りできる日本で唯一の場所だろう。さすがに高速を使った。日暮れ前にぎりぎり撮影成功。
すっかり日の暮れた東讃の国道をゆっくり凱旋。しかし晩飯はまたもやコンビニ。セブンイレブンに入ったら、ぶっかけうどんがあった。外食皆無のまま四国をあとにすることになりそうだ。
下道を東に進み、深夜に到着した鳴門手前のコンビニで写真の整理をしていたら睡魔に負けて眠ってしまった。
フェリー 8,270円
道路代 1,980円
走行 350km(積算2,940km)
ラン 1km
空撮 7:30
漁獲 ブラックバス1
<9日目>本土上陸
零時ちょうどに屋根をたたく雨音で目覚めた。内装は鉄板むきだしの商用車だから、雨音がカンカン。トタン屋根をたたくような音。
車内でデスクワークをやっていると、パトカーがやって来た。中をのぞきこまれたが、フロント側に目隠しをしていなかったのでスルーしてくれた。かつては四面を完全に目隠ししていたものだが、外の状況が分からないことと、いざというときに避難発進できるようにフロント側はフルオープンにしているが、警察の無用な詮索を受けないためにも有効そうである。
まだ日の出まで時間があるが、交通量が少ないうちに徳島市街地を見ておこうと思ってクルマを走らせる。
日の出とともに雨風が強まり、やがてかなりの暴風雨。湖沼取材は無理そうだ。翌週は信楽焼の取材出張がある。その準備もしておきたいし、一ヶ月点検も含めて、いったんハイエースシステムを母港にもどすべく帰路をとることに。断腸の思いで淡路島を素通りし、神戸から本土上陸。
「ダム穴」を取材する。
大阪、京都は高速で素通りし、名古屋で下道へ。
名古屋市街地にある猫ヶ洞池に行く。ここには、めずらしいダム穴がある。湖面にブラックホールのような穴が開いている不思議な光景を見ることができるかもしれない。
さて、現実のダム穴はいかに。
名古屋にタイヤの有名店があったので、タイヤ交換を行う。このタイヤ屋の近くの杁ヶ池はちょっと有名なバスポンドだったので、真っ暗になるまで存分にキャストをくり返す。なんかバイトっぽいのがあったが、かからず。
下道でのんびり帰路につき、豊橋のコンビニ駐車場に投宿。
道路代 7,700円
燃料代 6,234円(55.17リットル)
走行 490km(積算3,430km)
<10日目>母港へ。
やや寝坊して午前4時出発。
静岡県の野守の池に着いたのは6時をまわっていた。今回の遠征では、へらぶな釣りを一度もやっていない。せめて最後にお気に入りの池で、と思ったが雨。
へらぶなの活性も高くなさそうだったので、ルアーをキャストしまくってから、水辺遍路でトップクラスの人気を誇る赤坂池の追跡取材と、トラウト管理釣り場の新規取材。
そのあと御殿場の肉屋で馬刺しを買って帰った。天草南端や平戸まで行きながら、けっきょく買って帰ったお土産は、家から一時間ほどのところにある店。いろいろな土産物店を見てまわったが、妻と娘にこれほど喜ばれる土産もなく。
道路代 1,300円
燃料代 3,720円(35.4リットル※メーター値より算出)
走行 292km(積算3,722km)
まとめ
全走行距離 3,722km
交通費(道路代・フェリー代・燃料費) 68,809円
今回の旅からのフィードバック
・ソニック社のマグネットフックはさらに2つ買い足す。
・パナソニックのマグネットLEDランタンも2つ買い足す。