2014-10-31 【奥の細道39】全昌寺(石川県加賀) おくのほそ道 大聖持の城外、全昌寺といふ寺にとまる。猶加賀の地也。曾良も前の夜此寺に泊て、 終宵秋風聞やうらの山 と残す。一夜の隔、千里に同じ。吾も秋風を聞て衆寮に臥ば、明ぼのゝ空近う読経声すむまゝに、鐘板鳴て食堂に入。けふは越前の国へと心早卒にして、堂下に下るを若き僧ども紙硯をかゝえ、階のもとまで追来る。折節庭中の柳散れば、 庭掃て出るや寺に散柳 とりあへぬさまして草鞋ながら書捨つ。越前の境、吉崎の入江を舟に棹して汐越の松を尋ぬ。 終宵嵐に波をはこばせて月をたれたる汐越の松 西行 此一首にて数景尽たり。もし一辧を加るものは、無用の指を立るがごとし。 全昌寺。芭蕉句碑あり。 句碑・案内板