2014-10-31から1日間の記事一覧
丸岡天竜寺の長老古き因あれば尋ぬ。又金沢の北枝といふもの、かりそめに見送りて、此處までしたひ来る。所〃の風景過さず思ひつゞけて、折節あはれなる作意など聞ゆ。今既別に望みて、 物書て扇引さく余波哉 芭蕉に金沢から随行した立花北枝(ほくし)とこ…
大聖持の城外、全昌寺といふ寺にとまる。猶加賀の地也。曾良も前の夜此寺に泊て、 終宵秋風聞やうらの山 と残す。一夜の隔、千里に同じ。吾も秋風を聞て衆寮に臥ば、明ぼのゝ空近う読経声すむまゝに、鐘板鳴て食堂に入。けふは越前の国へと心早卒にして、堂…
温泉に浴す。其功有明に次と云。 山中や菊はたおらぬ湯の匂 あるじとする物は久米之助とていまだ小童也。かれが父誹諧を好み、洛の貞室若輩のむかし爰に来りし比、風雅に辱しめられて、洛に帰て貞徳の門人となつて世にしらる。功名の後、此一村判詞の料を請…