城めぐり(6) 里見八犬伝 館山城
滝沢馬琴『南総里見八犬伝』の本拠地である。
館山城は、内湾である鏡ケ浦をみおろす標高73mの要害の地にそびえる山城。里見氏の居城で、往時の「矢倉高くして蒼天を仰ぎ」という堂々たるたたずまいが碑文に記されているように、晴れた日ははるか江戸湾のかなたに富士ものぞめる。
春は天守を頂に抱くこの丘全体が桜に包まれ、出店や人々で賑わう。丘の中腹には孔雀園があり、「犬進入禁止」の立て看板があった。八犬伝の地であるのに、鳥のために犬が立ち入り禁止とは。インドの孔雀よりも、犬園でもつくるべきだったろう。
家に帰ってからは、当然、薬師丸ひろ子と真田広之の角川映画『八犬伝』をレンタルで借りた。薬師丸ひろ子がいみじくも言った。
「星よ、導きたまえ」
●八犬伝の里見氏の居城、館山城。後ろには鏡ケ浦湾。晴れた日は海の青と城壁のコントラストが美しい。
●天守閣からの眺め。鏡ケ浦湾を一望す。(南房総・館山城)